mieと散歩しよう♪

今日という日は残りの人生の最初の1日

下村先生

 100 歳を過ぎた下村先生は、T路の路地の奥に立つ我が家から正面に見えるお家に一人暮らしされている。お隣には息子さん夫婦も住むけれど自立されていた。昔、小学校の校長先生をしておられたと人から聞いて、それから私は勝手に下村先生と呼ばせていただいていました。
 下村先生は、毎日毎日、数キロ離れたところにある奥様が眠る霊園に運動もかねて歩いておられた。最近になって、遠くまで歩けなくなった先生は、それでも、毎日近所の駐車場を杖をついて、くるくると歩いておられた。
 そんな先生が、ある日お嫁さんの押す車いすに乗って、近所の病院からの帰っているところに出会った。
 それから、またしばらくして、先生が病院の帰りらしく、片手に薬の入っているらしい袋を持って、片手は杖をついて歩いておられた。あ、良かった元気になられたんだ・・と思ったところで、先生は立ち止まってじっと動けない様子。どうしたのかなぁ・・・近づいて声を掛けようと思ったところで、先生と目があったイメージ 1
 「こんなところに咲いてる」そういってニッコリされた先生の杖の先を見ると、コンクリートの隙間からタンポポが咲いていた。それが、昨日亡くなられた先生とかわした最初で最後の言葉になった。
下村先生、気軽に話し掛けてはいけないような気がして、いつもご挨拶だけだったけど、最後まで子供に恥じない生き方を通されたように見えた先生のお姿は素敵でした。